Japan Association for Medical Informatics

[2-C-1-07] 患者重症度は集中治療室在室中の費用と売上に影響を与えるか‐患者重症度とコスト予測モデル構築の試み‐

井汲 沙織1、志賀 卓弥2、小林 直也1、亀山 良亘2、森合 信基3、齋藤 浩二2、山内 正憲1 (1. 東北大学医学系研究科 麻酔科学・周術期医学分野, 2. 東北大学病院 集中治療部, 3. 日本光電工業株式会社)

DPC/PDPS, Intensive care Unit, SOFA, APACHEⅡ

【背景】病院診療報酬は,診断群分類に基づいた包括支払制度(DPC/PDPS)により決定されるため,高額な医療資源が投入される集中治療室(ICU)の多くは原価割れしている.これは,DPC/PDPSによる支払額が患者重症度を十分に加味していないためである可能性があり,患者重症度と費用の関連を明らかにすることが望まれる.

【目的】当院のICUにおける患者重症度とDPC/PDPSによる支払額の関連を明らかにし,さらに患者重症度から費用と売上を予測できるかを検討する.

【方法】当院ICU部門システムデータから,患者基本情報,生体情報,APACHEⅡスコア,SOFAスコア関連情報を取得した.DPCデータは,診療報酬明細データから,様式1,Dn,En/Fn,Hファイルを取得し,統合データベースを構築した.Hファイルの取得が開始された2017年1月から2018年3月の2891症例のうちAPACHEⅡスコア,SOFAスコアの取得できた769症例について分析した.手術費用を除外し,ICU入室期間での費用,売上の予測を検討した.解析集団を全患者,手術あり,手術なしで分類,目的変数を「入室期間の費用総和,売上総和」,「14日までの費用総和,売上総和」,「14日までの1日当たりの費用,売上」とした.説明変数を「初日APS,APACHEⅡ,初日SOFA」,「初日SOFA+看護必要度」,「APACHEⅡ+看護必要度」,「初日SOFA+APACHEⅡ+看護必要度」として重回帰分析を用いたモデルを作成した.

【結果】手術ありの場合,APACHEⅡ,SOFA,看護必要度の単独のモデルよりも,「初日SOFA+看護必要度」のモデルが,費用と売上に対して調整R2が最も高いモデルであった(調整R2=0.63).

【結語】手術ありのICU入室患者において,初日SOFA+看護必要度から費用と売上を予測できる可能性がある。