Japan Association for Medical Informatics

[2-E-1-03] 機能別病床入院患者重心に観る地域医療構想の構想区域の設定の妥当性の検討

中村 敦1 (1. 山口県立病院機構)

the population center of gravity, the center of gravity of hospital beds, the center of gravity of inpatients, the regional medical concept, Geographic Information System

【目的】現在、地域医療構想で必要とされる機能別病床数は現実の各医療機関の病床数とはかなりの隔たりがあるが、数的な比較のみで分布に注目した分析が為されていない。このことから機能別病床別入院患者の重心を二次医療圏単位で人口分布等と比較し、構想区域としての二次医療圏の妥当性について検討を行った。

【方法】病床機能報告結果の病床機能別病床数を基本に、医療機関の分布から算出される機能別病床重心並びにそれぞれの入院患者数から算出される機能別病床入院患者重心と人口重心等との位置分析を行った。
また、機能別病棟分類の一方式である「埼玉方式」を適用して、その妥当性の検討も行った。
分析対象は2017年度病床機能報告結果を基本に山口県内の各二次医療圏内の医療機関とした。

【結果と考察】県全体でも二次医療圏単位でも、病床機能別入院患者重心は機能毎に異なった位置にあることが判る。元々、病床機能報告における病床機能別分類は、各医療機関の主観的なものであることから、その分布に統一性は乏しい。このことから、「埼玉方式」を適用することで、病床機能の判断が一定のものとなり、その分布の検討が実用的なものになると考えられる。
この「埼玉方式」を適用した病床機能分類による入院患者重心は、それぞれの機能毎に当初の重心とはかなり異なる場所になっているが、どの二次医療圏でも人口重心とも異なる位置にある。これは各医療機関の開設時の分布によるものであるが、逆に現在の構想区域(=二次医療圏)の区分けにも起因すると考えられる。

【結語】現在の二次医療圏の設定後に、人口の大幅な増減や医療機関の新設・移転・廃止等も有り、人口分布・医療機関分布等が当初とは異なる状況となっている。このことを踏まえて、2025年、そしてそれ以降に向けて、疾患構造の変化や隣接する医療圏等との連携も踏まえた見直しが必要であると考えられる。