Japan Association for Medical Informatics

[2-E-1-04] 包絡分析法を用いた将来推計患者数に基づく医療資源の効率性評価

谷川 琢海1,2、藤原 健祐2、西本 尚樹3、大場 久照4、小笠原 克彦2 (1. 北海道科学大学, 2. 北海道大学大学院保健科学研究院, 3. 北海道大学病院, 4. 量子科学技術研究開発機構)

Geographic Information System, Data Envelopment Analysis, Medical Resource

【はじめに】2050年における我が国の将来推計人口は,2010 年に比べて2,600万人程度減少すると報告されている.様々な医療機能が人口減少にともなって統合・集約されると予想されるなか,我々はこれまでに北海道を対象として将来推計人口と患者のアクセシビリティに基づく医療資源の適正配置に向けたシミュレーション分析を行ってきた.本研究では,メディアンモデルで求められた医療施設の配置を行った場合における,医療資源の効率性を明らかにするため,包絡分析法を用いて評価を行った.

【方法】センター機能を有する医療機関を三次医療圏の数と同じ6施設とする場合において,メディアンモデルによって得られた配置は現在の三次医療圏の配置と同様である.この結果に基づき,三次医療圏を地域単位として,包絡分析法の入力に医療圏ごとの医師数と病床数,出力に現在および2045年における外来と入院の将来推計患者数を計算して比較を行った.将来推計患者数は将来推計人口に比例して減少するものとして計算を行い,また医療資源は現在から変化しないと仮定して分析を行った.

【結果・考察】現在と2045年についてそれぞれ分析を行った結果,道央圏とオホーツク圏において,両年とも相対的に効率性が最も高いと判定された.一方で,道南圏,道北圏では現在は効率性が高いものの,2045年においては相対的な効率性が低下すると判定された.また,現在と2045年を合わせて分析を行った結果,全ての医療圏において2045年には現在と比べて効率性が低下することが明らかとなった.包絡分析法では,少ない医療資源により多くの患者を診療している地域ほど,効率性が高いと評価される.人口減少による患者の減少に伴って,医療資源が過剰となるため,持続可能な医療提供体制の維持に向けた医療資源の整理・集約が必要になることが示唆された.