Japan Association for Medical Informatics

[2-E-1-06] 放射線画像検査の利用実態における地域差分析

石川 智基1,2、満武 巨裕1、佐藤 淳平3、合田 和生3、喜連川 優3 (1. 医療経済研究機構, 2. 北海道大学大学院保健科学研究院, 3. 東京大学 生産技術研究所)

NDB, Health Economics and Policy, Medical resources utilization

【背景】日本のCTやMRIの人口当たり台数はOECD加盟国内で最も高いことが知られており、将来的な人口減少に対応するために、地域別の利用実態に基づいた適正配置を検討することが重要である。しかし、これまでに地域別の保有台数や単月検査についての統計調査は行われてきたもの、検査の総数についての調査は行われていない。本研究は、CTおよびMRIの適正配置に資する情報提供を目的とし、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)の解析により、利用状況を可視化し地域差についての分析を行った。

【方法】対象をCT、MRIとして、2014年度におけるNDBの医科・DPCデータセットから各々検査回数を抽出した。次に、これを二次医療圏別に集計し、稼働率の評価指標として1台あたりの検査数を算出した。さらに、利用状況の地域差を評価するために、不平等性や格差の評価に使用される指標としてジニ係数、Theil係数、Atkinson指数を、人口当たり検査回数について各々算出し比較した。

【結果・考察】1台あたりの検査数を算出した結果、CTは平均で約3228.4回/台・年 (中央値=3142.3)であり、最大と最小の医療圏では23.17倍の差があった。同様にMRIは平均で2721.8回/台・年(中央値:2641.7)で、最大と最小の医療圏で18.3倍の差があった。また、人口当たり保有台数が多い医療圏ほど、1台当たりの検査数が低い値となった。人口当たり検査回数についてジニ係数はCTで0.157、MRIで0.224、Theil係数はCTで0.049、MRIで0.080、Atkinson指数はCTで0.023、MRIは0.040となった。CTの方がMRIに比べて検査回数の地域差が少ないと考えられるが、CTの普及率が非常に高くアクセスしやすいことなどが要因の一つとして挙げられる。