Japan Association for Medical Informatics

[2-E-1-07] がんの初回治療を行う病院は患者死亡の何日前まで自院で診療しているのか ―DPC データと大阪府がん登録データをリンケージした多施設研究―

森島 敏隆1、佐藤 亮1、中田 佳世1、松本 吉史2、小枝 伸行3、島田 裕子4、丸濱 勉5、松木 大作6、宮代 勲1 (1. 大阪国際がんセンター がん対策センター, 2. 大阪医科大学, 3. 八尾市立病院, 4. 国立病院機構 大阪南医療センター, 5. 東住吉森本病院, 6. 大阪府済生会吹田病院)

DPC data, Registry data, Record linkage, Local healthcare network, Health policy

【背景】がんの診断から死亡までを1つの病院で完結する患者が少なくなったが、がんの診断治療を担当した病院から後方医療機関にいつ連携するのかは知られていない。目的はがんの初回治療を担当した病院が当該患者の診療を終了してから死亡するまでの日数を明らかにすることである。

【方法】データソースは大阪府がん登録データと府内の厚労省または府指定のがん診療拠点病院36施設のDPCデータのリンケージデータである。後者は2017年度に大阪府がん診療連携協議会のがん登録・情報提供部会が実施した大阪がん診療実態調査に36施設が参加して提供した。研究対象選択基準を、2010~15年にがんと診断され、がん診断日の±3ヶ月間に36施設のいずれかにがんの診断または初回治療のために入院し、診断から90日以上生存して2017年6月までに死亡したがん診断時18歳以上の患者とした。がん初回治療を行った病院の終診日から死亡日までの日数を目的変数に、診断時年齢、がんの部位、初回治療方法、初回治療病院と患者居住地の間の医療圏越境の有無、がん初回入院時の他院よりの紹介の有無、がんの主担当診療科のがん診断前の継続診療の有無、がんの主担当診療科以外の診療科(併科)のがん診断前の継続診療の有無を説明変数にして、病院ごとに異なるランダム切片をセットした一般線形回帰モデルを構築した。

【結果】対象患者は19083人だった。終診日から死亡日までの日数の平均値±標準偏差は69±153日だった。多変量解析においてこの日数を統計学的有意に長くしたがんの部位以外の因子は、高齢者、併科なし、医療圏越境あり、積極的治療なしだった。部位別では、全体平均と比べたとき前立腺で長く、肺、胆膵で短かった。

【結論】がん診療拠点病院ががんの初回治療を行った患者の診療の終了から死亡までの日数とその長短を左右するいくつかの要因を明らかにした。