[2-E-2-02] 標準化策定におけるマイルストン -SEAMATのケースレポート
ビッグデータの活用が叫ばれて久しいが、臨床情報データの二次利用は現状容易ではない。互換性のない病院情報システムからの情報抽出はStructured Medical Information eXchange(SS-MIX)によって可能となり、多くの施設における利用が広がってきている。しかしながら、診療情報は多岐にわたるため、必ずしも病名や処方、採血検査を中心とするSS-MIX標準ストレージからの情報では十分とはいえない。特に、各専門分野のデータは標準化の整備がなされていないため、困難となっている。例えば、循環器分野では、患者の病状を説明するために心電図や心臓超音波、心臓カテーテル検査などの情報は必須であり、通常の診療はもちろんのこと、臨床研究もそれらをもとに展開される。それらの検査は画像情報を中心とするものの、結果は数値や言語で表現されるため、本来であれば扱いは容易のはずである。しかし、検査機器やそれらを束ねる生理検査システム、レポートシステムでは、数値というデジタル情報がありながらデータ抽出に労力を要し、抽出後も多施設共同研究であれば項目間の突合作業をケースケースで実行しなければならない。従って、その転記作業や変換作業に、臨床医、研究者は多大な労力を割く結果となっている。そこで、IHE-J循環器委員会の臨床医・ベンダー有志メンバーが協力し、循環器専門医が多く属する臨床学会と協力することにより、SS-MIX2拡張ストレージに出力するための標準フォーマット(Standard Export data forMAT:SEAMAT)を作成した。現在、安静時12誘導心電図、心臓超音波検査、心臓カテーテル検査などに、標準項目名、単位、Logical Observation Identifiers Names and Codes(LOINC)という国際標準コードが定められている。実際にSEAMATに対応した製品も販売されているため、その導入によりシステムからの直接出力も可能であり、対応機種がない場合でもcsvデータがあれば変換プログラムにより間接的に出力できる。本シンポジウムでは策定における方法論を中心に説明する。