Japan Association for Medical Informatics

[2-F-1-03] 地域包括ケアにおける施設連携システムの開発への取り組み
~電子カルテシステムへの実装にむけて~

酒田 拓也1、竹下 晋司2、山﨑 友義1、荒木 賢二1 (1. 宮崎大学医学部附属病院 医療IR部, 2. 宮崎市郡医師会病院)

Community-based integrated care systems, Electronic medical record system, Business flow

【目的】少子高齢化が進む日本において、団塊の世代の約800万人が75歳以上になる2025年以降は、高齢者の医療や介護の需要がさらに増加すると見込まれている。2005年の介護保険法改正で地域包括ケアシステムという用語が初めて使われて以来、地域におけるサービスの一体的な提供が求められている。この地域包括ケアシステムにおけるITを活用したサービス連携の多くは、SNSなどの相互情報伝達に留まっており、それぞれが把持する情報の共有が十分に出来ているとは言い難い状態である。 今回、地域包括ケアシステムにおける関連機関の情報伝達を円滑にするための基盤づくりを行ったので報告する。

【対象と方法】患者を中心に病院や施設、居宅介護支援事業所などの関連機関において、どのような情報の流れがあるのか、専門への現場調査を行い患者(入所者)や情報を含めた業務フローを作成した。 現場調査は、病院医師1名、老健医師1名、介護専門職1名、IT専門職1名によるユースケース毎の実態調査を行った。

【結果】この調査では、老人保健施設を中心とした7つの入退所経路において18のユースケースが抽出できた。さらにユースケース毎に定型書類の情報の流れだけではなく、各サービス間で求められている必要な情報を抽出することができた。 従来の情報伝達では、相互の関連機関で必要としている情報の伝達がスムーズに行えていない実態が明確になり、業務上の二度手間が発生していた。 円滑な情報伝達を行うため、システムに反映させるユースケースに対応した業務フローを作成した。

【結語】今後、電子カルテシステムへの実装を行い、実用化を目指していく。また、今回調査した患者の移動経路も多く存在しているため、実態調査を継続して行い、地域包括ケアシステム全体で活用できるシステム構築へと繋げていく。