Japan Association for Medical Informatics

[2-F-1-06] 地域連携システムでの標準化に向けた診療情報提供書の精査分析

石﨑 潤1、吉岡 正昭2、西村 治彦1 (1. 兵庫県立大学, 2. 大阪府済生会吹田病院)

regional medical cooperation, letter of medical introduction, standardization

【目的】2025年を目途に、厚生労働省は地域包括ケアシステムの構築を推進している。また、さまざまな地域連携ネットワークシステムの構築が進んでいる。地域連携を推進するためには施設間での円滑な情報提供と共有が必須である。医療施設間での主たる情報共有の手段として診療情報提供書がある。しかし、診療情報提供書の現状は、厚生労働省が示す必要項目(様式11)に準拠してはいるが、自由記載へのウェイトが高く、その内容は様々で、標準化が十分でなく限定的な利用に留まっている。そこで本研究では、診療情報提供書の記載内容の把握と標準化を目指し、診療情報提供書(以下、紹介状とよぶ)の内容分析を行った。

【方法】S病院宛の近隣医療機関からの紹介状に対して分析を実施した。範囲は下記の通りである。対象:診察・転院依頼、期間:平成24年4月。分析手順は、1.エクセルへの紹介状の転記(テキスト化)、2.紹介状毎に紹介用途と記載項目を付加、3. 1000例の紹介状について整理・分析。

【結果】分析の結果、紹介目的としては4階層・総計17項目(2次健診依頼、診療依頼など)に分類された。また、経過報告の記載項目は大項目7項目(紹介背景、患者情報ほか)の下に、小項目32項目に分類することができた。紹介目的や経過報告の記載項目、文字数など多角的に集計し比較することで、紹介状の記載の特徴を把握できた。

【考察】本研究により、記載内容に形式がなく非定型な紹介状の情報を体系的にカテゴリ化することができた。カテゴリ化を行うことで計量化が可能となり、紹介状の特徴を定量的にも把握することができた。分析結果からは、従来の様式での記載項目の体系化と精密化を進め、地域医療連携システム上での紹介状フォーマットの標準化を図るための有用な基礎情報となることが示唆された。今後、テキストマイニングなどの手法も導入し、さらなる分析を進める予定である。