Japan Association for Medical Informatics

[2-F-2-06] 血液型未確定患者の緊急輸血に対応した輸血オーダ機能の開発

美代 賢吾1、石割 大範1、石井 雅通1、永井 正樹2、手塚 俊介2、白鳥 克幸2、吉田 享史3、萩野 幸恵4 (1. 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 医療情報基盤センター, 2. 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 中央検査部門, 3. 日本電気株式会社, 4. NECソリューションイノベータ株式会社)

Blood transfusion order, Medical safety, Hospital Information System

血液型不適合の輸血は重大な結果につながる医療過誤の一つである。確実に血液型を判定するために、厚生労働省医薬食品局血液対策課「輸血療法の実施に関する指針」では、血液型検査を2回実施し一致した場合に、血液型確定とすることとされ、多くの病院では血液型の2回検査が一般化している。
輸血オーダシステムにおいては、血液型が確定していない場合、つまり血液型検査が2回実施されその結果が一致していないと輸血オーダができない仕組みとなっている。一方、救急搬送される患者や手術予定の無い内科の患者の急変など、血液型が確定していない患者に対して、緊急に輸血が必要な場合もある。
そのような場合、当院では、輸血部に電話で緊急度を伝え、血液製剤を準備する運用を行っていた。
しかし、電話でのやり取りは、緊急時ということもあって、情報の正確な伝達とその後の血液準備に課題があった。
緊急度、血液型未確定であることを正確に伝達し、輸血部側ではO型Rh(+)の赤血球、または、AB型Rh(+)のFFPを技師の判断により準備しなければならず、それぞれの段階でヒューマンエラーが入り込む余地がある。
そこで、我々は、血液型未確定患者の緊急輸血に対応した機能を開発し、既存の輸血オーダシステムに実装した。
医師は、輸血オーダにあたり、まず輸血の緊急度を、緊急度MAX、緊急度高、緊急度中から選択する。緊急度MAXの場合のみ、血液型が未確定でも輸血オーダが可能になる。緊急度MAXかつ血液型未確定患者の場合、オーダできる血液型は、O型Rh(+)の赤血球および、AB型Rh(+)のFFPに固定され、オーダ医師は数量をのみを入れるだけで良い。これにより指示の伝達ミス及び準備すべき血液型の認識ミスを防止することが出来る。
今後運用を重ね、本システムの評価を実施する予定である。