Japan Association for Medical Informatics

[2-F-2-07] 病院情報システムと画像情報システムの導入保守に関する提言について

近藤 博史1、持田 真樹2、川井 達朗2、寺本 圭1 (1. 鳥取大学医学部附属病院 医療情報部, 2. セコム山陰)

EMR, PACS, cloud technology, virtual server, bid

【背景と目的】過去20年間で大病院の病院情報システム(電子カルテ、部門システム、画像情報システムを含む。以下HIS/PACS)の構成はクラウド技術等の進歩により大きく変化している。現状を把握し契約のための検討をしたので報告する。

【方法】シンクライアントの導入と端末系の分離購入、地域連携システムでのハードとソフトの分離購入、次期システムの導入計画における収集情報、他院の導入状況を調査した。

【結果】シンクライアントの導入については、端末ソフトの問題から遅れるベンダーもあったが、現状3社の実績があった。端末価格低減効果と中間サーバ経費増加、保守経費低減が影響するが、効果を上げるには入札の分離が必要であった。実際に総額の低減はなかったが、他院に比し表示時間の短縮が見られた。地域連携システムの経験からPACSのソフトとハードの分離が可能であった。複数の大学病院で部門システム系の仮想サーバ導入事例があった。仮想サーバの寿命は6−7年と従来のハード寿命と大差はなかったが、ソフトの移行が容易であり、ソフトもハード依存性がなくなってきたことからハード統合の効率化、ソフトの寿命延長の可能性、ソフトの分離導入、機能の冗長性から契約の分離が有効と思われた。ただ、実際の価格の低減効果は契約形式の変更時のリスクから競争入札の実現が困難で、明らかではないが、機能面での効果はあった。

【討論】クラウド技術の導入による端末の別契約、サーバのソフトとハードの分離導入による効果は明確と思われるが、価格の低減には競争入札の実現が前提であり、現時点での効果は性能面に見られた。また、life spanの延長の効果は今後実証されるものと考えられた。また、この方向性はクラウドサーバへの移行にも有効と考えられた。