一般社団法人 日本医療情報学会

[2-G-1-01] 歯科医院での医療連携の現状と今後の展開

森本 徳明1 (1. 矯正歯科 森本)

medical cooperation, dental clinics, online

以前は、歯科は単科として、歯科医院で基本的な治療はすべてできることを求められ、また、それを実現できるように教育等を受けていた。また、病院という組織で研修や臨床を長期間行っている歯科医師もあまり多くはなく、役割分担や多職種との連携に、より慣れていないことも考えられる。

加えて、診療所では、画像検査はデジタル化が進んできているが、検査の多くは自家検査で検査機器のデータを一元管理するような規格のないのが現状である。よって、診療室のデータのデジタル化はなかなか進んでいない。

いわゆるレセコンの導入率は、平成30年1月分では、医療機関ベースで88.1%、請求ベースで96.0%であり、医科診療所の93.9%、97.8%と比べても差が小さいが、オンライン請求はそれぞれ、15.8%、20.2%と医科診療所の65.9%、69.0%と比べて明らかに低い。接続の費用より院外へのネットワークに対しての何らかの抵抗感があるのかもしれない。

このような中で、保険証のオンライン資格確認や処方せんの電子発行等の流れが進んでいる。また、寿命がのび、有病者の歯科治療の比重も非常に高くなり、歯科診療室で全身管理を行いつつ歯科治療を行ったり、自院で困難であれば全身管理のできる病院歯科への紹介等の必要が高くなっている。

さらに、訪問診療のニーズも高くなり、在宅での診療や多職種との連携も重要となり、医科で電子化が進む中でそれとの連携など、大きな問題になってくることが考えられる。

小規模事業体である歯科医院が、歯科医療の安全性を確保しつつ、正確な医療記録を残していくだけでなく、他院への情報提供や、在宅診療の記録を残すと同時に多職種と情報共有を行うということを限られた時間の中で行うためにはICTの利用は必須になってくる。

今回の発表では、このようなユースケースを可能な限り示し、歯科医院で今後必要とされるレセコンの機能についてまとめる予定である。