Japan Association for Medical Informatics

[2-G-1-03] 歯科における医療連携と医療情報の利活用

堀 義明1 (1. 厚生労働省)

standardized oral information, identification of the dead body, Oral Health and Dental Care

 我が国は、世界のどの国も経験したことのない人口構造の超高齢化に直面しており、今後は医療・介護の需要の増大が見込まれている。歯科の分野においては、人口構成の変化や、歯科疾患罹患状況の変化に伴い、歯の形態の回復を主体とした歯科治療だけではなく、全身的な疾患の状況などもふまえ、関係者と連携しつつ患者個々の状態に応じた口腔機能の維持・回復をめざす歯科治療の必要性が増すと予想される。このような状況を踏まえて、歯科医師の資質向上等に関する検討会の中間報告書である「歯科保健医療ビジョン」において、これからの歯科保健医療の提供体制の目指すべき姿が示された。今後は、各地域において歯科医療機関の役割の明示・分担を図るとともに、他職種や他分野との連携体制の構築などが求められると考えられる。

 他方、歯科情報については、平成23年の東日本大震災において、身元確認においてその有用性が大いに示された。しかし、歯科医療機関が保有する歯科情報の保存様式が統一されておらず、大規模災害時の多数の身元不明遺体の照合において効率化・迅速化を図るために、歯科診療情報の標準化の必要性が明らかとなった。そこで厚生労働省は、平成25年から「歯科診療情報の標準化に関する実証事業」等の予算事業を実施するとともに、有識者による「歯科診療情報の標準化に関する検討会」等の検討会等を開催している。

 現在、歯科診療情報の形式を統一化するための「口腔診査情報コード仕様」が完成し、厚生労働省標準規格の取得についても検討されている。標準化された歯科情報は、地域医療ネットワークへの応用などの汎用性を持たせられる仕様となっており、今後の活用に向けて、国民や医療従事者に向けての周知及び理解を得ることが、課題の一つであるとされている。標準化された歯科情報を、身元確認のみならず、多職種連携等に幅広く活用するために、今後具体的な議論等が必要となると考えられる。