一般社団法人 日本医療情報学会

[2-G-1-04] 医療等分野のICTを利活用した取組みについて

宇佐美 伸治1 (1. 日本歯科医師会)

Medical and other identity, Medical information sharing, ICT in the medical area

厚生労働省は、2020年度からの「オンライン資格確認」の導入に向け、今年度は本格的にオンライン資格確認等システムの導入に関するシステムベンダ向けの技術解説書の作成をはじめ、来年度からの導入を検討する医療機関・薬局のシステム改修を想定したスケジュールを組み、関係する検討会を中心に協議を重ねている。
システム構築側の周知が進んだところで、医療機関側への説明会も実施することとなっており、本格運用までに各医療機関への懇切丁寧な説明と、導入する意思のある医療機関への漏れのないフォローを厚労省に対し要望するところである。特に、医療機関への導入に係るイニシャルコストについては、本年5月15日の改正健康保険法において設置された「医療情報化支援基金」(以下、基金という)から、オンライン資格確認を実施する医療機関・薬局に対し補助を行うことから、各臨床現場の状況を汲み取った柔軟な運用を要望している。なお、医療機関・薬局がオンライン資格確認に用いる回線の仕様は、導入・運営コスト縮減の観点から、既存のオンライン請求のインフラを活用することが合理的と考えられており、運用開始時点ではオンライン請求ネットワークを活用した仕組みが想定されている。
オンライン請求の利用状況は、病院・薬局が9割超、医科診療所は概ね7割であるが、歯科診療所は2割を満たしていない。多くの歯科診療所は、オンライン資格確認の導入≒オンライン請求の実施が必須となるが、今後、国のICT利活用による医療情報連携等を鑑みると、この機会に前述の基金を利用した両者の導入により、歯科の情報連携に係るインフラ整備の一助にもなると考えることもできる。
本筋に戻すと、オンライン資格確認等システムの構築により、資格過誤が無くなり医療機関、保険者等にとっての一定のメリットはあると考えるが、結果として、医療機関等の受付事務の煩雑化につながることのないよう、引き続き本格運用までの制度設計を注視していきたい。