Japan Association for Medical Informatics

[2-H-1-02] 医師および一般市民への意識調査に基づいた次世代医療基盤法の通知によるオプトアウトのあり方の検討

吉田 真弓1、田中 勝弥2、山本 隆一1 (1. (一財)医療情報システム開発センター, 2. 国立がん研究センター)

Next Generation Medical Infrastructure Law, Privacy risk, Anonymous processing medical information, Opt-out by notification

【背景】個人情報保護法の改正後、広く公益目的で医療情報の適切な利活用を可能とするため次世代医療基盤法が施行された。国の認定後に認定匿名加工医療情報作成事業者は、各医療機関等から提供された診療情報等を多施設間で名寄せし、利用申請により匿名加工医療情報として利用者へ提供する。各医療機関は患者へ通知によるオプトアウトを実施の上で拒否がない患者の診療情報を提供できる。

【目的】1医療機関で通知によるオプトアウトを3カ月実施し、一部を除く全受診患者に看護師がパンフレットを配布し、拒否は0.05%で想定よりかなり低かった。患者の反応や病院での実施関係者の意見でパンフレット内容の難解さと次世代医療基盤法の認知の低さで、患者には適切な理解がされず、拒否が低いことが想定された。我々は補助資料としてコミック版パンフレット等作成し、理解に基づく普及を進めたいと考える。

【方法】国内の医師113名と18才以上の市民31930人へWebアンケートで、次世代医療基盤法での情報利活用の仕組みとパンフレット内容の理解と感想、補助資料コミック版パンフレットの効果、診療情報利活用の意義の賛同など意識調査を実施した。

【結果】医師は「パンフレットでは殆どの患者が理解できない」と50.5%が回答し、コミックを見た後は「コミックで仕組みの理解が益々深まった」が93.8%。一般市民は、パンフレットは「よく理解できた」が6.6%、大体を含め「理解できた」が58.8%。コミックの感想は、84.7%が「コミックで仕組みが理解できた」と回答した。

【考察】通知方法はパンフレットでは不十分で、補助資料やポスター掲示でのフォロー、広告等の社会的周知が必要と考えられる。また、医師や患者の情報提供への賛同を得るためにはこの仕組みでの成果の公表が効果的で、国民が理解し納得の上での情報利活用基盤に近づくと考える。