Japan Association for Medical Informatics

[2-I-1-04] 大学病院の放射線部門で厚生労働省標準規格(HS017)の実装は可能か

森田 周作1,2、吉峰 正1、村井 正二1、石田 幸敏2、八倉 弘明2、玉本 哲郎2,3 (1. 奈良県立医科大学附属病院中央放射線部, 2. 奈良県立医科大学附属病院 医療情報部, 3. 奈良県立医科大学 放射線腫瘍医学講座)

RIS, Ordering System, Standard Conformance

【はじめに】 電子カルテが登場から時間が過ぎ、全国の病院に導入が進んでいる中で、自院から他院、他院から自院への情報受け渡しがますます必要になってきている。システムの老朽化などによるリプレースを行われるようになり、その際にシステムの標準化の要求が高まってきている。今回、当院では2019年5月の電子カルテシステムの更新に伴い放射線情報システムに厚生労働省標準マスタ(HS017)であるJJ1017の採用を試みた。

【方法】 電子カルテシステムの更新に伴い、放射線情報システムの検査項目マスタを整理し、これらの検査項目に対してJJ1017コードを付与した。コードの付与に関しては独自コードの作成は行なわず、汎用コードをベースとした。

【結果】 放射線オーダー全検査項13284項目中3246項目についてJJ1017コードを付与することができた。特に一般撮影領域では全検査項目中2712件中1242項目(45.8%)についてJJ1017コードを付与することができた。ただし、マスタの作成に時間がかかったこと、マスタ項目が非常に多いこと(13284件)、医事側のコード類はそのまま移行したことなどの理由で限定的な実施にとどまった。

【考察】 今回の電子カルテシステム更新でJJ1017を採用したものの、本来の目的である装置連携や会計との直接的な連携は、マスタの整理等に時間がかかり、本来の連携は稼働時にできなかった。JJ1017を採用することでHIS・RISをはじめ会計システムにまで連携するためには放射線部門単独での対応には限界があり、医療情報部門、医事部門も含めた対応が必須であることが再確認できた。今後、モダリティの入れ替えのタイミング等で、JJ1017コードを直接使ってのプロコル展開を行っていく予定である。そのため、中長期的な計画に基づいて採用範囲を広げていくことが必要であると思われた。