Japan Association for Medical Informatics

[2-I-1-06] SS-MIX2ストレージに収集されるデータ項目の臨床研究における網羅性の検討

中山 雅晴1,2、大友 千晶2、井上 隆輔2 (1. 東北大学大学院医学研究科医学情報学, 2. 東北大学病院メディカルITセンター)

Standardization, SS-MIX2, SEAMAT

【背景】病院情報システムから診療データを抽出し臨床研究に役立てることに対する期待は大きく、Standardized Structured Medical Information eXchange(SS-MIX2)を用いた事業が一般的である。しかしながら、臨床研究は多種多様の情報を必要とするため、SS-MIX2でどれだけの情報が集まりうるかは一定の見解がない。この研究では、一般的な臨床研究を行う上で、データ範囲の網羅性を検証した。

【方法】一般的な臨床研究で扱うデータ項目を調べるためNew England Journal of Medicine誌の原著論文を用い、各研究でエントリーされている患者基本情報からデータ項目を抽出、それらの項目をSS-MIX2標準化ストレージの出力項目がどの程度補えるかを調査した。対象疾患分野は、がん、心臓病、脳卒中、感染症、認知症、糖尿病、呼吸器、血液の7つに絞り、2018年378巻1号から2018年379巻10号までのOriginal Article論文のうち95報を対象とした。

【結果】標準化ストレージの出力項目で補える可能性が最も高かった疾患は糖尿病(61.8±13.7%)で、次に血液 (55.9%±17.1%)、心臓病(48.0±13.0%)、呼吸器(45.0±16.3%)、感染症(43.6±24.9%)、認知症(13.3±13.3%)の順となった。日本循環器標準出力フォーマット(SEAMAT)を用いた場合で検討してみると、心臓病は82.7±0.1%と有意に上昇した。

【結論】SS-MIX2標準化ストレージを中心としたデータ抽出は、糖尿病や血液疾患など採血検査が種となる研究では過半数のデータ項目を自動で抽出できる可能性があるが、その他の診療科特有のデータを必要とする分野では拡張ストレージに収集されるデータを活用する必要が示唆された。