Japan Association for Medical Informatics

[2-J-1-02] 分析シナリオにおける役割に着目した収支分析用指標の系統化フレームワークの設計

小川 泰右1、山﨑 友義1、松尾 亮輔1、竹下 晋司2、荒木 賢二1 (1. 宮崎大学医学部附属病院, 2. 宮崎市郡医師会病院)

Indicator Design, BI Tool, Balance Analysis

【目的】収支,原価,請求額などの収支分析指標は,昨今のBIツールの普及により粒度を動的に変化(ドリルダウン)させて計算できる.しかし,ドリルダウンの粒度や軸についての系統だった知識はなく,分析目的ごとにアドホックに行われがちである.本研究の目的は,ドリルダウン機能を起点として収支分析指標に関する知識を整理するフレームワークを実現することで,BIツール上ので指標計算の冗長性を軽減し,漸進的な開発を可能にすることにある.

【対象と方法】まず,宮崎大学医学部附属病院での収支分析手順をヒアリングし,分析シナリオを設定した.
分析シナリオは,病院収支に関する各種指標(請求額,原価,医師数,平均在院日数など)を,4つの粒度(病院,診療科,疾患群,ケース)で算出し,自他院の同等診療科と対比することで問題を同定するというプロセスで構成されている.
次に,分析シナリオに沿って,同院の6つの診療科(肝胆膵外科ほか)で収支分析し,同時に指標群をExcelパワーピボットのチャート・テーブルとして実装した.実装結果と分析シナリオをマッピングするという観点でフレームワークを構成した.

【結果】マッピングの結果,指標のドリルダウンには以下の困難性があることが判明した.
分析目的と分析対象の粒度的なズレ(診療科の分析のために,そこで扱われている疾患群を分析するなど)のため,チャートなど実装物が分析目的と分析対象のいずれを起点にしているか自明ではなく,実装物の利用者に混乱を生じかねない.特に,分析目的を起点とした実装では,冗長的な実装を招くことが確認された.

【結言】結果を受けて,分析対象の粒度を起点とした分析ツール(チャート群)の実装を進めており,指標計算の冗長性の抑制につながるかを検証している.また,分析シナリオと分析ツールのマッピング結果から,ツール利用者を誘導するチュートリアルの開発方法論を検討している.