Japan Association for Medical Informatics

[2-J-1-04] 手術の収支における非償還材料の検討について

西山 謙1、山下 貴範2、中島 直樹2 (1. 九州大学病院 経営企画課, 2. 九州大学病院 メディカルインフォメーションセンター)

Surgical balance, Non-reimbursable foreign material, Method of surgery

【目的】大学病院の経営にとって、手術の収支は非常に影響が大きい。収入増加には、手術件数の増加が有効であるが、限界がある。そこで支出抑制を考慮すると、手術支出での変動費は薬剤費、償還材料費、非償還材料費が主である。薬剤費と償還材料費は保険請求により患者と直接紐づけられ、その実態を把握することは比較的に容易である。一方、非償還材料費用は患者ごとに紐づけられなく、箱単位で納入・使用され、一般的に実態を把握することが困難である。手術部の手術における非償還材料費用の分析を行ったので報告する。

【方法】手術の支出データは手術部門システムから電子カルテ・オーダーシステムを経由した診療実施データと物流システムの購入マスタを活用して、償還材料と非償還材料およびその費用をデータ化する。期間は2018年4月1日から2019年3月31日までとし、手順は下記のとおりとする。
    1.診療実施データを1行1項目商品単位に整理
    2.償還材料と非償還材料のフラグを設定
    3.術式ごとのフラグを設定
    4.非償還材料のデータを検証

【結果】期間中36,426,317件(3,611件/手術)の手術実施データにおいて、非償還材料の11,986,811件(1,188件/手術)のデータを整理し可視化した。主たる医事術式1128件の術式ごとの非償還材料費用を算出した。

【考察】術式ごとの非償還材料の平均費用を手術部に公開すると、更にほぼ全ての手術に使用される48品目の非償還材料費用を術式ごとに運用を含め見直している。また、手術担当診療科に公開すると、針と糸の材料の見直しを行い、改善の取り組みに繋がり、コスト感覚も更に共有できようになった。

【結語】非償還材料費用は術式ごとのばらつきが多い。これをできるだけ正確に把握し、収入のみならず、支出を削減するための具体例を診療科に示すことで、病院の方向性を共有し、経営改善に繋がることを期待する。