Japan Association for Medical Informatics

[2-J-1-06] DWHとBIツールを活用した診療科別原価計算の構築

田中 信吾1、荒尾 雅一1、中村 達也1、公文 和彦2、松原 正明2 (1. 社会医療法人愛仁会本部 企画・医療情報グループ, 2. 社会医療法人愛仁会本部)

Cost Accounting, DWH, BI

【背景・目的】当法人では従来から経営管理資料として「部門別」と呼ばれる入外/診療科別原価計算と病棟別原価計算を作成していた。しかしながら、資料作成には多くの工数が掛かっており、資料報告は診療月から2~3カ月後となるなど、タイムリーな経営資料としての貢献が出来ていなかった。また、部門別原価計算システムサーバの老朽化や病院移転に伴う部門再設定ノウハウの不足など、システム面に対する課題もあった。さらに、按分比率の設定値に対する定期的な見直しがされておらず、計算結果に対しての信頼感が欠如し、徐々に活用されない資料となっていた。そこで、DWHとBIツールを活用し、メンテナンスが容易で計算結果に対する説明性を高め、かつ継続性の担保と作業負荷の軽減を目的とした診療科別原価計算を構築した。

【方法】診療科別原価計算に特化し、従来の階梯式配賦方式から新たに診療科直接配賦方式による計算方式を採用した。また、診療科別原価計算に特化し、配賦係数にはDWHから取得したデータを配賦係数として適用することで、説明性を高めると同時に配賦係数の算出を容易にした。さらに、BIツールを用いて処理の自動化とレポート公開を行うことで、報告までの時間を短縮し、マルチデバイスでのレポーティングを実現した。

【結果】従来は2~3カ月遅れとなっていた報告が診療月の翌月中に結果を提供できるようになった。また、配賦係数の説明性が高まったことにより、結果に対する疑義に明確な回答が出せるようになった。DWHとBIツールを活用することにより、専門の原価計算システムを用いずに原価計算を行えるようになった。

【考察】ダッシュボード的機能を追求することで大幅な工数削減・費用削減を実現できた。説明性の高いタイムリーな資料提供が可能となったことにより、経営に資する資料提供が可能となったと考える。