[2-J-1-07] 原価計算システムを用いたクリニカルパスの収支評価
cost accounting , Crinical Pathway, EHR, Cost effectiveness
【背景】医療費抑制方針の中、病院経営は悪化傾向である。このため多くの病院が在院日数を短縮し新入院患者数確保による収入増で対応してきたが、在院日数短縮には限界がある。今後はコスト削減による収益確保が重要であるが、正確なコスト把握には原価計算が必要であるものの、医療分野では十分に普及していない。長崎大学病院では電子カルテデータを用いた精緻な原価計算に取組んでいるが、本研究では、コスト管理に有効とされるクリニカルパス(以下パス)例を収支分析した。
【目的】原価計算によりパスを経営面から評価する。
【方法】2016から2017年度に長崎大学病院医科部門への入院患者37,066例に対し、原価計算システム「Mercury」を利用し、1例単位の平均収支を手術、入院期間II内退院、パス利用の有無で年度比較した。医療材料は、購入価500円以上を直課した。
【結果】2016年度および2017年度の1例あたりの平均収支は-83,621円と-101,929円、このうち手術例では、14,058円と-20,896円、また入院期間II内での退院例では-9,546円と3,272円、これに対しパス例は-19,507円と31,789円に対し、パス無例では-21,874円と-192,614円と極めて収支が悪かった。なお、2017年度の手術有のパス例は47,315円と最も高収益だった。
【考察】病院経営安定化は喫緊の課題であるが、新入院患者増が厳しい地方では、特にコスト削減が重要であるが有効な手段は少ない。入院前より診療内容を計画できるパスはコスト削減が可能であり、パスが医療の質だけでなく経営上も有効であることが示された。大学病院のパス利用率は低いが、年々の運営費交付金の減額も踏まえ、今後はいかなる病院であってもパス利用が必須と考えられる。
【目的】原価計算によりパスを経営面から評価する。
【方法】2016から2017年度に長崎大学病院医科部門への入院患者37,066例に対し、原価計算システム「Mercury」を利用し、1例単位の平均収支を手術、入院期間II内退院、パス利用の有無で年度比較した。医療材料は、購入価500円以上を直課した。
【結果】2016年度および2017年度の1例あたりの平均収支は-83,621円と-101,929円、このうち手術例では、14,058円と-20,896円、また入院期間II内での退院例では-9,546円と3,272円、これに対しパス例は-19,507円と31,789円に対し、パス無例では-21,874円と-192,614円と極めて収支が悪かった。なお、2017年度の手術有のパス例は47,315円と最も高収益だった。
【考察】病院経営安定化は喫緊の課題であるが、新入院患者増が厳しい地方では、特にコスト削減が重要であるが有効な手段は少ない。入院前より診療内容を計画できるパスはコスト削減が可能であり、パスが医療の質だけでなく経営上も有効であることが示された。大学病院のパス利用率は低いが、年々の運営費交付金の減額も踏まえ、今後はいかなる病院であってもパス利用が必須と考えられる。