Japan Association for Medical Informatics

[2-J-2-02] 中国における医療資源の省間分布から見る医療格差

楊 雨辰1、森井 康博1、藤原 健祐1、石川 智基2、山品 博子1、鈴木 哲平3、中谷 純1、小笠原 克彦1 (1. 北海道大学大学院保健科学研究院, 2. 医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構, 3. 北海道教育大学 岩見沢キャンパス)

Gini coefficient, China's healthcare, healthcare disparities, healthcare resourcing, health economics

【背景】中国における医療格差は中国国内だけでなく全世界範囲で注目されている。しかし、中国の各省級行政区域の間において医療資源分布の平等性を評価する研究はほとんどない。そこで本研究では、省単位での医療資源格差を明らかにすることを目的とし、(1) 1998~2016年中国における医療資源配置格差の変化をデータの可視化、(2) その変化に関連する要因の特定を試みた。

【方法】本研究では、1998~2016年中国各省の医療に関する人的資源(医療従事者数、医師数、看護師数)や財的資源(医療機関数、病床数、病院数、クリニック数)の統計データを収集し、年間伸び率の分析や省間医療資源分布のGini係数を算出したことによって、中国における医療資源分布の格差を評価した。

【結果と考察】研究期間全体では、人的資源分布の改善が認められた。特に2008~2016年間、中国における全国医師総人数は44.92%増加、看護師総人数は109.00%増加し、医療資源の豊富に伴って、医師数のGini係数は0.121から0.072、看護師数のGini係数は0.141から0.083と低下し、格差が減少していることを判明した。しかし病院数に関しては、2008年から平均年間伸び率が5%を上回った一方、Gini係数の変化は認められなかった。本研究の結果から、中国における医療に関する人的資源の分布は改善されている一方、医療機関分布の改善は認められなかった。