Japan Association for Medical Informatics

[2-J-2-05] 国保データベースを用いた医療レセプトと介護レセプト連結における名寄せの課題

明神 大也1,2、次橋 行男5,1、久保 慎一郎1,4、西岡 祐一1,3、中西 康裕1、降旗 志おり6、東野 恒之6、野田 龍也1、今村 知明1 (1. 奈良県立医科大学 公衆衛生学講座, 2. 奈良県立医科大学 病理診断学講座, 3. 奈良県立医科大学 糖尿病学講座, 4. 奈良県立医科大学附属病院 医療情報部, 5. 公益財団法人天理よろづ相談所病院 患者総合支援センター/在宅世話どりセンター, 6. 三菱総合研究所  ヘルスケア・ウェルネス事業本部)

KDB, Database, Patient-Matching, Health insurance claims, Patient identification

【背景】医療・介護データ等の積極的な利活用のため、医療レセプトと介護レセプトの連結が課題となっている。国保データベース(以下、KDB)は健診・医療・介護のデータを有する。本研究では、KDBのうち奈良県の医療レセプトデータ(以下、医療DB)と介護レセプトデータ(以下、介護DB)を入手し、医療DBと介護DBの連結における課題を、名寄せの観点から調査した。

【課題】医療DBと介護DBには、両DB共通の個人を識別する番号(以下、ユニークID)が割り振られており、ユニークIDによって両DB間を名寄せできると考えられていた。しかしながら、国民健康保険から後期高齢者医療に移行した場合、ユニークIDは新たに採番されることが判明した。さらに、医療DBまたは介護DB内で情報が正しく紐づかなかった場合も別のユニークIDが付与されることが判明した。

【対応】医療DBのうち国民健康保険では「保険者番号・被保険者記号・被保険者番号・性別・生年月」の5項目、医療DBのうち後期高齢者医療は「被保険者番号・性別・生年月」の3項目、介護DBでは「保険者番号・被保険者番号」の2項目から、個人の名寄せIDを生成した。これにより国民健康保険と介護DBでは、被保険者が市区町村外に転居しない限り、個人単位のエピソード結合が可能となった。後期高齢者医療では、市区町村外に転居しても、エピソード結合を可能とした。また、国民健康保険から後期高齢者医療に移行する場合でも、介護DBの名寄せIDは同一である。そのため、後期高齢者医療に移行前後に介護レセプトが発生していれば、エピソード結合が可能となった。

【今後の方針】現在議論されている、NDBと介護保険総合データベースの連結にむけた検討・課題抽出を行う。詳細抄録および発表では、実データを用いて追跡率を算出し、医療DBと介護DBの名寄せの精度を検証する。