Japan Association for Medical Informatics

[2-J-2-06] 特定健診の質問票データにおけるメタボリック症候群の特徴抽出

橋本 紀彦1、宮内 義明2、西村 治彦1 (1. 兵庫県立大学大学院 応用情報科学研究科, 2. 名古屋市立大学 看護学部)

Health Checkup, Metabolic Syndrome, Lifestyle

【目的】平成20年4月からメタボ症候群を予防するため, 特定健診が実施されている. 毎年蓄積されていく大規模な特定健診データを駆使した, 有効なメタボマネジメントの取り組みが期待されているが, 特定健診の際の質問データとメタボ症候群との関係性を分析した報告はあまり見当たらない. 本研究では, 特定健診質問票データを用いて,メタボ(不良)と非メタボ(良好)の健康状態の違いに影響を及ぼす生活習慣について分析し, その特徴を抽出する.

【方法】特定健診の試行的な位置づけの健診(H18, H19)を受診した男性5,423名の検査・質問票データに対して, まず,階層化, 質問票データの数値化, 生活習慣因子の分析を行った. 次に,階層化での積極的支援・動機づけ支援該当者をメタボ, 情報提供・対象外該当者を非メタボとし, その経年での状態移動に応じて良好・改善・悪化・不良の4群に大別した.そして,両年とも非メタボの良好群とメタボの不良群における質問票データに対して, 各質問項目(全36問)の両群間での平均値の差の検定を実施し,その差異から生活習慣の違いの特徴について検討を行った.

【結果】良好群と不良群の間で差異の大きかった質問項目(上位10問)からは,食事の量,脂分の摂取,歩行・ジョギング・体操・筋トレほかの運動量,食べる量と運動量のバランス,健康維持のための行動・実践,健康意識,喫煙が,メタボ状況と関係する主要なポイントとして確認された.生活習慣因子の範疇で捉えるならば,規則正しい食習慣,日常の運動量,健康的充足感,喫煙に該当する項目が主となっていた.

【考察】特定保健指導に際しては, 今回判明した経年でのメタボ(不良)と非メタボ(良好)の生活習慣の違いをしっかりと受診者に認識させ, メタボ脱却の対策に臨むことが肝要である.また,残された改善群と悪化群についても同様の分析を行い,特徴の違いの把握に努めたい.