Japan Association for Medical Informatics

[2-P1-1-03] Mixed Reality技術を活用した多言語院内案内表示板アプリケーションの開発

美代 賢吾1、石割 大範1、石井 雅通1、大塚 伸司2、小関 毅2、植松 義之2、濱上 武志2 (1. 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター, 2. テクノブレイブ株式会社)

Hospital Information Board, Mixed Reality, Hospital Administration System, Hospital Amenities, Patient Satisfaction

訪日外国人観光客の増加とともに、日本の医療機関への受診そのものを目的とした医療ツーリズムも増加しており、日本語対応が難しい外国人が日本の病院を受診する機会が増えている。当院の外来における外国人の比率は、すでに10%を超えており、使用する言語も、ベトナム語やミャンマー語など非英語の場合も多い。その対応として外国人受診者へのサービス向上のため、5か国語対応の自動再来受付機の開発・導入なども進めてきた。一方、院内の案内板については、日本語に加えて英語も併記しているが、非英語圏の言語には、対応していない。当院受診者の母国語は、多岐にわたるため、案内板にすべての言語を併記することは物理的に難しい。そこで、当院では、Mixed Reality(MR:複合現実)技術を用いて、受診者の持つスマートフォンやタブレットのカメラで、案内表示板をかざした際に、受診者が選択した言語の案内板がオーバーレイ表示されるアプリケーションを開発した。アプリケーション開発にあたり、事前に対応する各国の言語表記を検討するとともに、院内各所の案内板を写真撮影し、特徴点を抽出することで、案内板を識別することとした。同時に、撮影した各案内板のレイアウトにあわせて、それぞれの言語で表記した案内板画像を作成した。開発したアプリケーションは、デバイスのカメラに映し出された画像の特徴点から、案内板を特定するとともに、3次元空間において案内板を定位し、選択した言語に対応した案内板を3次元空間上でフィッテイングさせたうえで、デバイスのディスプレイに表示する。現在のところ、中国語、韓国語、ベトナム語、タイ語に対応しており、今後他の言語にも拡げていく予定である。本システムは、外国人患者へのサービス向上につながるとともに、採血室や放射線部門へスムースに誘導することを可能にし、外国人に対応する職員の負担軽減にもつながると考える。