Japan Association for Medical Informatics

[3-A-1-01] FHIRに対する期待と課題

中山 雅晴1 (1. 東北大学)

Standardization, Interoperability , FHIR

医療情報システムに関する問題点は数多くあるが、システムの閉鎖性や硬直性、互換性の欠如に悩まされることは多い。医療現場からのリクエストに柔軟に対応したいが、既存の病院情報システムを中心に検討すると、カスタマイズや外部アプリケーションの利用、データの相互連携不可といった現実に直結し、コストの観点から結局は実現を諦めざるを得なくなる。その状況は、病院情報システムのみならず地域医療連携システムでも同じであり、電子カルテ-地域連携-個人情報記録をシームレスに連携することが望まれるなか、大きな課題である。

HL7次世代規格であるデータ交換規約FHIRは、Fast Health Interoperability Resourcesと名前に示されるように、その互換性、拡張性、容易性が期待されている。諸外国に比べ、現在日本においては実際の活用例や学習の機会が少ないため、本シンポジウムの参加メンバーを中心として有志が集まりFHIR研究が発足、2019年7月に日本医療情報学会の課題研究会として承認された。FHIR研究会では、現場に近い視点から、病院情報システムや地域医療連携システム、さらには個人健康情報記録(PHR)などにおいてFHIRを利用する意義や実践方法について検討する。折しも、次世代健康医療記録システム共通プラットフォーム研究会(NeXEHRS研究会)においてもFHIRの実装に向けたワーキンググループが開かれることが決まった。今後共催というかたちで、重なる範囲に関して積極的に連携を行わせて頂きたいと考えている。FHIRの活用を進めていくことで上記に挙げた現実の問題点をどこまで改善することができるのか、また活発に利用が進むことで新たな混乱を生むことが無いようにするにはどうしたらよいか、など考えるべき問題に真摯に取り組んでいく。