Japan Association for Medical Informatics

[3-A-1-03] 医療情報統合を目的とした情報基盤整備とHL7 FHIRを利用した情報活用の展望

田中 良一1、小山 耕太郎1,2、斎藤 匡俊1、吉岡 邦浩3 (1. 岩手医科大学 総合情報センター、2. 岩手医科大学医学部 小児科学講座、3. 岩手医科大学医学部 放射線医学講座)

Medical Informatics, Virtualization, HL7 FHIR

 医療情報システムは、病院情報システム(hospital information system: HIS)と呼ばれる「電子カルテ」と数多くの「部門システム」で成り立つが、多くの場合HISを頂点としたヒエラルキー構造であり、HISから「部門システム」に問い合わせることがあっても、「部門システム」からの情報をHISが受け取り保存する仕組みはほとんど無い。それゆえ、データは複数のシステムに分散保管されるが、システムの接続はpeer to peerで構築され、それぞれに別の接続インターフェースを準備する必要がある。また、多くの場合、共通インターフェースを介した複数のシステムあるいはクライアントからの同時接続を想定していないため、情報の二次活用において大きな障壁となる。
 今回、われわれは、医療情報の有効活用を可能とする環境の整備を目指し、統合情報基盤整備を開始した。
 現行の施設では増改築を繰り返した結果、多くのシステムが物理的、論理的に分散し、全体像の把握は困難を極めた。病院移転が計画されていたため、物理的には、新敷地にサーバ室を設け仮想技術を導入することで、物理サーバ・ストレージのリソースを一元管理するよう構成した。また、各システムの調達において、論理サーバはサーバ仮想化への対応を必須要件とした。システム間の論理的接続は連携基盤を導入し、仕様の違いを連携基盤上で吸収する構成とした。電子カルテはベンダーが独自の仮想環境以外での構築を行うことができず、別の物理システムとして稼働しているが、連携については連携基盤を介する接続に統一することで、接続を簡略化した。
 今回の構築では上記の様にシステム統合を行った。また、連携基盤上で情報統合、情報の二次活用に適した環境整備を進めている。ここでは整備プロセスの有効性と問題点について検証し、経過中に生じた診療運用上の問題を解決する仕組みとして、連携基盤上でのHL7 FHIRを用いた情報整備の計画について、その段階的整備のプロセスを検証する。