[3-A-1-05] FHIRを最大限活用できる方法論とは -リソースの仕組みを活かす
FHIR, RESTful API, PHR
HL7 CDAの理論的な完成度は高いながら、構造の複雑性と記述の自由度の高さによって実装の難易度が高まり普及が進まなかった。この反省点とCDA開発の経験を踏まえて、情報モデルの制約、簡素化を加え、現代のWebアプリケーション技術の文脈に併せてFHIRが設計された。FHIRの特徴の一つがリソースという情報モデルの考え方である。リソースとはURIによってインターネット上で一意に特定できる情報である。すなわち、FHIRのリソースには処方、検査結果、患者基本情報等多岐にわたる種類があるが、それぞれのインスタンス(データ)はIdentifierによって一意に特定され、またリソース間の関係性も事前に定義されている(動的な関係性の表現手法はFHIRにはない)。つまり、退院サマリー、電子処方箋、診断書といったものはFHIRの文脈ではリソースの集合体で構成されるが、文書を構成する各々のリソースは一意に特定でき、かつ関係性も明らかであることから、元々の文書から切り離して管理・再利用することが可能である。別の視点から見れば、策定したProfileを再利用性のある形で他文書向けのProfile開発に取り入れることが容易であるため、一つの文書規格が完成すれば他の規格も加速的に開発できることが期待される。また、患者が自身の医療情報を入手するときに、全ての医療情報が一元的に入手可能になれば話はシンプルではあるが、今後しばらくは過渡期にあり、様々なデータが様々なデータ源から雑多に提供される可能性がある。その中にあっても各文書からリソース単位で切り出して再構成することにより、整理されたPHRとして再構成できる可能性がある。このような理念を実現するには、Profileを一元的に管理、再利用していく体制と、リソースのIDとバージョンを一意に管理されていることを保証し、OAuth認証に対応して相互のデータ交換を実現するような、各ベンダーの正確な実装が必要である。