Japan Association for Medical Informatics

[3-A-4-01] 健康医療介護分野におけるIoTデバイス活用の現状と将来像 -トリガー演題として-

中川 肇1 (1. 富山大学附属病院医療情報部)

IoT, Hospital, Nursing Care Unit, Electronic Medical Record, Security

【はじめに】政府のSociety 5.0 構想とは、現実空間からセンサーとIoTを通じてあらゆる情報が集積され、人工知能がビッグデータを解析し、高負荷価値を現実空間にフィードバックすることである。新たな価値の事例としてリアルタイム生理計測データをAIの解析に送ることが挙げられている。

【なぜ今回の大会のテーマとしたのか】本大会のテーマとしてIoTの医療への利活用とした。現状は、バイタルサインや血糖値の計測のデバイスがWiFi対応として発売されているものも多く、また電子カルテ側では、受信I/F開発により自動転送される仕組みが多く出てきた。また、医療分野のみではなく介護分野や健康増進施設でも広く応用されるようになった。しかしながら、計測機器やアプリケーションの標準化、セキュリティの確保、個人情報保護対策や多施設連携等に未解決な問題が多く散見されると考えられる。

【実現していることと解決すべき問題】既に多くの病院ではIoTを活用している。本院でもSMBG はRS232接続、フェリカカード接続により電子カルテ上のアプリに転送される。また、患部の写真を携帯情報端末で撮影し、転送ができる。電子問診票も開発した。技術面では著しい進歩を遂げた。しかしながら、①測定機器の標準化 ②セキュリティ確保と個人情報保護 ③ユースケースについては、各施設で悩み多いところであろう。特に、今後、地域包括医療においては、情報を患家等から訪問看護師等がインターネットを介して送信する場合のセキュリティ対策は急務であろう。測定機器についても互換性を要する。また、情報をどのように処理するかも課題である。例えば著者が臨床の専門としているめまい疾患では発作時の眼振をリアルタイムに病院に送信すれば、診断精度が向上すると考えられるが、電カルに直接、格納するか、あくまでも診断の参考資料として別のサーバに格納するか等、課題が多い。