医療現場における医療機器の電子化、デジタル化は加速する一方だが、一般病棟ベッドサイドや外来において測定されたデータを電子カルテなどの医療情報システムへ記録する場面において、システムへのデータ取り込み過程は、未だ電子化・デジタル化されておらず、アナログ的な人の手作業が介入している現場も少なくない。
　これらのデータ取り込みがデジタル化されていない環境における誤入力や測定後タイムラグの問題を解決して医療安全への貢献をすると共に、データの手入力作業という医療看護の業務負荷を改善することを目的に、機器メーカー各社より、測定デバイスにNFCやBluetooth等の通信機能を搭載したいわゆるIoTデバイス製品が提案され、電子カルテをはじめとする医療情報システム等との連携が行われている。
　こうした医療機器のIoT化に伴う周辺技術や医療現場におけるワークフローの事例、電子カルテシステム等との連携事例を挙げると共に、サイバーセキュリティーに対する考え方やIoTデバイス通信方式の互換性の課題、医療データの利活用に関する今後の展望等について考察する。