Japan Association for Medical Informatics

[3-A-4-06] 介護施設におけるIoT活用事例と介護現場からみたIoT普及推進上の課題

保坂 雅樹1 (1. 保健医療福祉情報システム工業会 医療介護連携WG)

IoT, Nursing Care Homes, JAHIS

 日本が直面する超少子高齢・人口減社会に挑むためには、医療・介護現場の人材不足を補うIoTを活用した生産性の向上が必要である。国はこの課題に応えるため、介護現場におけるセンサや外部通信機能を備えたロボット技術の普及を推進している。2018年の介護報酬改定では、IoT・ロボットに対する評価項目が新設された。具体的には特別養護老人ホームにセンサ等の見守り機器を導入し、夜勤職員配置加算を算定する場合の人員要件の緩和が定められた。
 一般社団法人保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)では、在宅医療介護連携のICT利活用推進に関して調査研究を行っている。今回は介護現場に導入した、IoT利活用事例を紹介する。社会福祉法人が運営する特別養護老人ホーム(定員100名)の事例。当法人は「入居者の笑顔と家族の安心」「快食・快眠・快便な健康的で過ごしやすい生活環境」をポリシーとしている。ポリシーのうちのひとつ「快眠」を追求するため、IoTデバイスとして、ベッドにマットセンサーを設置し、データ利活用による眠りの質向上を実証した。マットセンサーにより、無拘束で「心拍・呼吸・体動」を測定し、離床判定、個別睡眠深度を測定できることを確認できた。また昼間の生活リズムの変動や心理面の変化と個別睡眠深度の関係性を調査した。今後は本実証で得た運用面、制度面、報酬面や本人・家族・介護者の心理面の課題を踏まえて、看取り期におけるマットセンサーの有用性なども検討し、利用拡大を推進していく。