Japan Association for Medical Informatics

[3-B-1] クリニカルパスの標準モデルとエビデンス創出

山下 貴範1、白鳥 義宗2、岡田 美保子3、中島 直樹1、副島 秀久4 (1. 九州大学病院、2. 名古屋大学医学部附属病院、3. 医療データ活用基盤整備機構、4. 済生会熊本病院)

電子カルテ等のリアルワールドデータからのエビデンスの創出がうたわれており、診療プロセスデータ、アウトカムデータの活用が求められている。従来の電子カルテデータは、情報の多くが非構造化であることや、診療プロセスの関連付けができていないため、そのままデータを集めても精緻な診療プロセスは困難である。一方、クリニカルパス(以下、パス)は、それらの課題を克服しており電子カルテ上でも広く普及しているため、病院間・ベンダー間で標準化することにより、高品質な医療ビッグデータの生成が期待できる。
日本医療情報学会と日本クリニカルパス学会では、2015年に合同委員会を設立し、パスの標準化や標準データモデルなどの検討を重ね、2018年度にAMED事業「クリニカルパス標準データモデルの開発および利活用」(ePathプロジェクト)に採択された。ePathプロジェクトの目的は、パスの考え方や仕組みを活用して相互運用性のある標準パスシステムを構築し、電子カルテから診療プロセスデータを効率よく収集し、病院間の統合解析を行い、医療の質改善に役立てることである。「ひな型パス作成、パスシステム標準化、標準データリポジトリ構築、解析基盤構築とエビデンス抽出、次世代医療基盤法対応」を研究課題として、4つの電子カルテベンダーを利用している4病院を実証病院とし、実証病院で使用数の多い8種のパスを選定した。
2018年度は、8種のパスのひな型パス作成、パスシステムの改修、標準データリポジトリを実証病院に導入した。2019年度は、ひな型パスから施設別パスを検討・作成し、パスシステム上で実運用し、データを蓄積している。そして、実証病院からのパスデータを収集し、統合解析する予定である。
本企画では、実証病院におけるひな型パス検討時の課題やシステム改修内容、そして統合解析の結果について紹介し、今後の展望について議論する。