一般社団法人 日本医療情報学会

[3-B-1-04] クリニカルパス標準データの統合解析基盤

山下 貴範1 (1. 九州大学病院)

Clinical pathway, Standardization, Basic Outcome Master, Integrated analysis platform

ePathプロジェクト(以下、ePath)では、実証4病院にて電子カルテのクリニカルパス(以下、パス)機能を改修し、標準フォーマットでのデータ出力が整備された。施設間の統合データ解析を目的として九州大学病院とAzure(Microsoft社製)に解析基盤を構築したので、解析基盤の仕様と統合解析の内容について報告する。

診療に伴う医療データはリアルワールドデータと呼ばれ、利活用によって副作用検知や発症予測、診療プロセス改善などに期待されているが、解析を目的としていない。信頼のある解析結果のためには、正確なデータ収集が必要である。パスは、患者状態や診療行為を構造化データとして保持する特性を持ち、診療プロセスに紐づいてデータが蓄積されている。ePathでは、日本クリニカルパス学会監修のBOMを採用したことと標準フォーマット対応により、施設間のデータを容易に統合することが可能になった。

ePath実証4病院では、日々の診療で生成されたパスデータ、DPC、SS-MIX2が標準フォーマットで、標準データリポジトリに出力されることになり。それから解析基盤には、匿名化が施され連携される。九州大学病院の解析基盤は、主にデータ収集機能を整備した。Azureでは可視化機能と各データの連結機能を整備した。可視化機能は、バリアンス発生数を軸にアウトカムや患者属性、在院日数などで対話的にグラフやチャートで表現できるようにした。連結仕様は、パスと各DPCファイルを「施設コード、匿名化済患者ID、入院日、退院日」で関連付けした。さらに解析用のデータ整型の効率を上げるため、時系列情報とDPC様式1とHファイルのペイロードを列単位で保持できるようにし、1症例1行のデータを出力可能とした。これらによりパス設定やバリアンス発生のベンチマークや機械学習を用いた統合解析が可能となった。