一般社団法人 日本医療情報学会

[3-C-1-01] 薬剤処方関連業務プロセスにおける情報モデルの差異についての検討

小林 慎治1,2、粂 直人1、吉原 博幸1 (1. 京都大学大学院医学研究科EHR共同研究講座, 2. 日本openEHR協会)

medication, information model, standard, Prescription, Dispense

薬剤処方関連業務には1)処方、2)調剤実施・払い出し、3)配薬(注射含む)、4)摂取の各プロセスがある。これらの各プロセスは医師が発行した処方箋に基づいて業務が実施される。電子化された処方箋の標準規格としてHL7 Version 2.5, V3 CDA、MMLで定義されたものが公開されており、HL7 FHIR, HL7 V3 CDA規格には薬剤払い出しに関する規格も定めており、注射記録についてはHL7 Version 2.5で制定されたものがJAHIS標準として公開されており、FHIRでは各段階の管理についても定義している。薬剤の処方、払い出しについては、日本薬剤師会がNSIPS標準を薬局内での情報システム連携のために開発し、共有仕様としている。薬剤処方とその運用については各国での業務の差異があり、openEHR プロジェクトでも薬剤処方関連の情報モデルはもっとも頻回にアップデートがされているものの一つであり、国際的に議論が積み重ねられてきた。

 ジェネリック医薬品の普及と、一般名での処方記述が一般化しつつあり、処方箋に書かれている薬剤と実際に調剤され、薬局から払い出される薬の名称が異なることも一般的になってきており、それぞれを記録しておくことは薬剤の安全管理上も重要である。

 しかしながら、複数の標準規格が存在しており、それぞれが普及している中で、相互運用性を確保するためにはそれぞれの情報モデルについて比較検討する必要がある。

 そこで、既存の薬剤処方関連業務の標準規格で公開されている、HL7 Version 2.5, V3 CDA(JAHIS/東京大学 電子的処方指示・調剤実施情報提供書記述仕様)、HL7 FHIR, MML, openEHR archetypeの各情報モデルを比較し、検討を行ったのでここに報告する。