Japan Association for Medical Informatics

[3-C-1-08] モーションキャプチャーとタスクオントロジーを用いたマンモグラフィ撮影における暗黙知のモデル化

谷川原 綾子1,2、井上 剛3、北川 剛3、山品 博子2、鈴木 哲平4、藤原 健祐2、小笠原 克彦2 (1. 北海道科学大学保健医療学部, 2. 北海道大学大学院保健科学研究院, 3. 中村記念病院放射線診断科, 4. 北海道教育大学岩見沢校)

Motion Capture, Task Ontology, Mammography, Examination technique, Verbalization

【背景】マンモグラフィ撮影技術の習得には豊富な知識や経験が必要であるが、言葉で表現できない暗黙知が多く含まれており、技術継承を効率的に進めることが難しい。そこで、これまでマンモグラフィ撮影技術を体系化したタスクオントロジーの構築を進めてきた。本オントロジーは、ブレインスト―ミングから撮影プロセスを収集したため、暗黙的な知識を十分に明示化することに限界があった。そのため、本研究ではモーションキャプチャーによる動作解析から暗黙知を取り込んだタスクオントロジーを構築することを試みた。

【方法】マンモグラフィ検査の経験のある技師3名に技師役、マンモグラフィ撮影経験のない学生に患者役をお願いし、マンモグラフィ撮影装置のある環境で実際の撮影現場を再現した。患者役は、乳房ファントムを装着した。技師役は、慣性式モーションキャプチャーセンサーを全身に装着し、患者役に対して、臨床と同様のポジショニング動作(着替え終了から乳房圧迫)を実施した。技師役の各関節の動作データから角速度を算出し、関節の運動方向(外旋、回内等)のラベル付けを行った。次に、先行研究にて構築されたタスクオントロジーと関節の運動部位と方向を合わせたクラス(左手関節の屈曲など)の関連付けを行った。新たなプロパティとして「hasMotion」を導入し、関節運動のモデル化を行った。構築したモデルの妥当性は診療放射線技師2名が確認した。

【結果・考察】先行研究にて構築されたタスクオントロジーの6つのタスクに平均10.3個の「hasMotion」が記述された。ブレインストーミングで表出された1つのタスクには、複数の関節運動から構成されており、この結果は暗黙的な技術が表現されたものと考える。タスクを遂行するために必要な関節動作の明示化はタスク間の共通する関節動作や差異が明示化され、この知見は医療者の効率的な技術習得への一助となると考える。