Japan Association for Medical Informatics

[3-C-2-01] 安全なReal World Data利活用の為の制度的対応と課題

山本 隆一1 (1. 一般財団法人医療情報システム開発センター)

Personal Information Protection Act, Next Generation Medical Infrastructure Law, Real World Medical Data

2017年に改正個人情報保護法(個情法)が施行され、2018年にはいわゆる次世代医療基盤法が施行された。これによって旧個人情報保護制度化で曖昧さが目立った医療情報の利活用の一定の整備が行われた。
しかしすべての課題が解決されたわけではない。
個情法が情報を取得するセクターによって異なる法制度で運用されており、細かなところで扱いが異なる点も問題ではあるが、制度の責任主体が多岐にわたり、公益性と個人特定リスクのバランスに多少とも疑念が残る場合などは複数の責任主体での検討が必要になり、利活用に至る手続きが極めて煩雑になることがあり、これが利活用を阻害するおそれが高い。
また個情法は本人同意があらゆる利活用において必要十分として扱われ、同意が適切な場合は利活用は本人の責任と解釈されることが多く、同意が不十分あるいは不適切とされた場合は利活用にに提供する個人情報の管理者の責任とされる。次世代医療基盤法ではこの管理者の責任に一定の限度を定めているが、個情法では管理者の責任とされる。
しかし医療の場合、意識障害や認知症など、そもそも適切な同意が不可能なこともあり、また医療従事者や利活用者と患者である本人との間には厳然たる知識格差が存在することがほとんどで、真の意味で納得して同意することが難しいことも多い。同意を求められた本人が、内容は十分理解できないものの、医療でお世話になっている機関からの依頼で断れないという場面もあり得る。このような状況はプライバシー保護の観点から決して好ましいものではなく、対策が必要と考えられる。
本発表では現状の制度とその課題を明らかにするとともに、既に改定の検討がはじまっている個人情報保護法等を含めた対策について論じたい。