Japan Association for Medical Informatics

[3-C-2-05] セキュリティ要素技術による診療情報の安全な統合的利活用基盤の開発

田中 勝弥1、山本 隆一2 (1. 国立がん研究センター、2. 医療情報システム開発センター)

Information Security, Privacy Protection, HL7

疾患別リポジトリをはじめとする大規模な診療情報データベースが構築・運用されてきており、医療機関の外部と情報を共有・収集し解析する多施設間の研究利用も盛んに行われている。また、次世代医療基盤法の成立にみられるように、集積された診療情報の研究開発や公益目的への二次利用は今後さらに促進されることが期待される。一方で、改正個人情報保護法の施行や医学系研究に関する倫理指針の改正に見られるプライバシー保護や患者同意の管理への対応は必須の課題でもある。平成26年度より開始されたJST CREST「ビッグデータ統合利活用のための次世代基盤技術の創出・体系化」研究プロジェクトでは大規模データの二次利用とプライバシー保護への課題に対し、クラウド上に電送・保管される診療情報の安全管理、分析・二次利用に対するプライバシーリスク評価を中心にその要素技術とシステムイメージについて検討を重ねてきた。医療分野に関するテーマとしては、医療情報システムが保有し、二次利用が期待される診療情報に対して、おもに組織外部への情報の電送や格納、臨床研究目的の収集および解析をターゲットとして、

・データの消失や流出といった、データの安全管理にかかわるセキュリティ対策に寄与する要素技術の開発、

・統計解析などの二次利活用における匿名加工に対して、プライバシーリスク評価可能な方法を提案し、実証的に示すこと、

に主眼を置いている。

本プロジェクトでの医療分野におけるパイロットシステム構築に関する取り組みとして、

・分散環境下における安全な診療情報収集機能

・抽出データのプライバシーリスク評価機能

・同意情報の電子化と情報連携機能

・二次利用監査に対するトレーサビリティ機能

の機能開発を実施してきており、現在、諸機能を基盤システムとして統合する段階にある。

本発表では、医療分野向けテストベッドシステムの概要と機能詳細について報告する。