Japan Association for Medical Informatics

[3-D-2] 構造化データ登録を誘導するための仕掛けとデータ再利用

松村 泰志1 (1. 大阪大学大学院医学系研究科 医療情報学)

structured data entry, data reuse, clinical decision support, FHIR, thesaurus

電子カルテが普及し、診療データの多くがデータベースで管理されるようになった。しかし、診療記録の多くの部分がフリーテキストで記載されており、入力されたデータを、そのままでは、診療活動の評価や臨床研究に利用することができない。テンプレート等の入力フォームにデータ登録することで構造化データを生成することが可能であり、これによりデータ解析が可能になることは、システム担当者には理解されている。しかし、現場で忙しく働く医療スタッフにとっては、臨床評価や将来の研究のために、慣れ親しんでいる入力方法を変えることにはなりにくい。医師等の医療スタッフが入力フォームでデータ登録するためには、目先のメリットを感じることができ、不自由を感じることなくデータ入力できることが必要条件となる。

目先のメリットとしては、入力データの診療の中での再利用がある。一度入力したデータを、別の書類を作成する際に、再度調べて入力するのは手間がかかるが、自動引用機能によりこの転記作業を無くすことができると利用者は便利と感じることになる。或いは、継時的に入力されたデータから要約が作られ、患者の病態把握の助けになるなどもメリットを生む可能性がある。また、意思決定支援機能と連動し、治療方針決定の助けになる情報が提示されたり、不適切な投薬にアラートが表示されたりすると、入力フォームに進んでデータを入力することになるかもしれない。

本ワークショップでは、利用者が進んで構造化データ登録をしようとするために何か必要かを議論する。話題提供として、診療の中でのデータ再利用、自動サマリの事例を示してもらい、入力データを知識ベースとリンクさせるために標準化の必要性とFHIRでの実現の可能性、シソーラス作成の工夫、音声入力の可能性等について話題提供してもらい、このテーマについて学会参加者を含め議論したい。