Japan Association for Medical Informatics

[3-D-2-01] 当院における構造化入力文書の一次・二次利用の事例

石田 博1、樫部 公一1 (1. 山口大学医学部附属病院 医療情報部)

電子カルテの構造化入力による文書作成(テンプレート)機能により蓄積される病歴、診察等の観察所見、あるいは、処置内容、経過など目的に応じた記録は単なる診療記録としてだけではなく、診療や研究にも容易に活用しうる重要な記録である。例えば、診療では、平文では活用しにくい血圧等の診察所見や疾患特異的な検査結果などの集積により疾患全体の把握や評価支援、また、二次利用では、観察研究における所見の入力を診療の中で促し入力漏れを防ぐなどの利点を活用し、より質の高い研究につなげることが可能である。

当院では、同機能による書式を用いた深部静脈血栓・肺塞栓の予防対策や転倒転落のスクリーニングなどの医療安全の向上を目的とした日常の診療支援に活用している。深部静脈血栓・肺塞栓の予防対策においては、血栓性疾患の既往や基礎疾患・予定手術の内容などの入力によりD-dimer測定指示やその後の各種の血栓予防対策の推奨等の指示が提示され、実際の指示が記載される書式となっている。

また、症例登録で入力が必要となる項目を手術記録や退院サマリなど診療において記載される一連の書式の中に項目を追加することで書式間での重複入力を防ぎ、また、症例登録における情報の欠損を避けるような活用も行っている。これらの事例の書式内容の紹介、およびその効果と課題について報告する。