Japan Association for Medical Informatics

[3-D-2-03] 構造化データ登録を誘導するための標準規格との連携

木村 映善1 (1. 国立保健医療科学院 )

構造化されたデータの入力は医療従事者の負担を増加させがちであり、入力のモチベーションを増やす仕組みと併せて導入することが不可欠である。近年は構造化されたデータとAIやCDSを組み合わせて、臨床判断支援や医療安全の向上、医師事務作業の効率化、臨床研究への応用といった研究事例が発表されている。しかしながら、これらの試みがEMRの標準的機能として普及していない理由は、「例外的な」熱意と広範囲の実装を要求するためである。CDSはデータ構造の標準化、データ収集、判断ロジック、医療従事者とのインタラクション、オーダ連携と多岐に渡った構成要素の実装を求められる。現状ではこれらの構成要素は標準化されておらず全て個別対応になる。従ってプロトタイプレベルでもこれらの構成要素を一気に開発できる体力のある組織のみに限られる。FHIRの規格により、データ構造(Resource、Questionnaire)、データ収集(REST API)、医療従事者とのインタラクション(CDS Hook)と、一つの規格でカバーできる範囲が広がり、実装も容易である可能性が提示され、解決の糸口が見えてきた。CDSの判断ロジックは未解決であるが、所謂Curly Brace Problemは相対的に減少するので、判断ロジックの移植も容易になるだろう。本発表ではFHIRの規格を導入した場合のテンプレート、CDSの連携のあり方のビジョンと今後開発すべき課題について提示する。