一般社団法人 日本医療情報学会

[3-E-1-03] ディープラーニングを用いた肺組織免疫蛍光染色画像の多クラスセグメンテーション

伊坂 脩1、川中 普晴1、Prasath V. B. Surya2、Aronow Bruce2 (1. 三重大学大学院工学研究科電気電子工学専攻, 2. Division of Biomedical Informatics, Cincinnati Childres's Hospital Medical Center)

Image Segmentation, Deep Learning, Lung Image Analysis, Multi-class Segmentation

【背景】近年,ディープラーニング技術の発展により,医用画像を用いた自動診断や画像解析が盛んに行われている.しかしながら,医用画像を用いた組織構造の解析においては,画像の複雑さゆえ,組織あるいは構造レベルでの分析は容易ではない.そのため,それらの解析には,画像を領域ごとに分割し構造を明らかにするセグメンテーションが必要であり,その自動化は重要な課題である.

【目的】本研究は,肺の免疫蛍光染色画像を対象とした構造レベルでのセグメンテーションを行うモデルを構築し,画像解析の自動化を目的とする.

【材料】本研究では,LungMAPから提供されている画像を用いた.それぞれ3種類のタンパク質が染色されており,タンパク質の局在解析が可能である.また,これまで筆者らは,訓練画像の作成用アプリケーション(http://galileo.ip.elec.mie-u.ac.jp/lung/tools/annotate)を開発し,学習用データセットを作成した.

【方法】前処理として2475x2475の画像を以下のように処理した.1)1024x1024にリサイズ.2)各辺に64pxのミラーパディング.3)128pxごとに縦横移動しながら256x256で画像を切り取ってパッチ画像を作成.4)各画像を90度ずつの回転および反転により8倍にする.次に訓練過程では,学習率を0.01,損失関数をMSE,最適化関数をSGDとし,多クラス拡張したU-Net,SegNet,及びDeepLabV3+を用いて6クラス分類の学習を行った.後処理では,各出力画像から元の位置関係へ復元した.評価に際してはDice係数を用いた.

【結果】実験の結果,U-Netでは85.0%,SegNetでは83.7%,DeepLabv3+では84.5%という結果が得られた.今後の課題として,モデルの改良及び細胞レベルセグメンテーションがある.