Japan Association for Medical Informatics

[3-E-1-06] MRI画像による入院期間長期化の予測

信太 圭一1、岩穴口 孝2、佐々木 雅史、宇都 由美子2 (1. 帝京大学 福岡医療技術学部, 2. 鹿児島大学病院 医療情報部)

MRI, hospitalization, deeplearning, prediction

現在、入院時の状態に応じて、クリニカルパスを導入している。これにより、医療の標準化が勧められ、入院期間の短縮、ならびに医療の質と安全性の向上が図られている。しかし、患者によっては入院期間が長くなるのは避けられないのも事実である。入院の長期化は医療費を増大させる原因であり、各医療機関では入院時に退院困難事例の抽出を行っているが、医師・看護師等の主観的な判断で行われており、計画的な退院に至らない症例がある。

入院初期に、長期化するか客観的に予測することが出来れば、人員配置の増加などの対策を講じることが出来る。本研究では客観的に予測するために、入院初期に実施される画像検査、血液検査などの結果を用いて、入院期間長期化を予測できるかどうか検討を行った。

データセットは鹿児島大学病院からの提供を受け、対象期間内に脳腫瘍で手術した患者とした。入院時の血液検査結果、生化学検査結果の項目に欠損があるものは除外した。対象となったデータ数は60であった。画像検査はMRI画像を用い、横断像のT2強調画像とした。画像による入院期間長期化の予測は深層学習である事前学習済みネットワークのAlexnet、squeezenetを用いた。血液検査結果、生化学検査結果の項目による入院長期化の予測は機械学習にて行った。結果MRI画像による予測の結果、accuracyは0.750、0.833であった。機械学習の結果は0.721であり、MRI画像を用いた予測が若干ではあるが、精度が良い結果となった。

今後の課題として、学習オプションのさらなる検討、データ数の増加、画像と血液検査、生化学検査結果を合わせた予測を行い、精度を高める必要がある。本研究の結果、入院初期に行う画像検査、血液検査、生化学検査結果を用いて、入院長期化の予測を客観的に予測できる可能性が示唆された。