Japan Association for Medical Informatics

[3-E-2-02] 当院におけるRFIDを用いた患者誤認防止システム導入に向けた取り組み

高畑 りさ1、小川 純生2、西村 清胤2、相田 辰広2、澤田 喜代子1、根本 ゆき1、奧冨 秀典1、辻本 広紀1 (1. 防衛医科大学校病院 医療安全・感染対策部、2. 小林クリエイト株式会社)

【背景・目的】医療現場における患者誤認は、重大事案に発展する可能性がある根絶しがたいインシデントである。患者誤認は思い込みや確認不足など、ヒューマンエラーに起因するものが多く、教育や訓練、人による確認だけではすべてを防ぐことはできない。したがって患者誤認をゼロにするためにはヒューマンエラーを組織、あるいはシステムとして防止する施策、とりわけ医用工学やIT技術を取り入れ、人間工学に基づいた施策を模索することが重要である。今回我々は、乗車カードや電子マネーに取り入れられているICタグと同様のRadio frequency identifier (RFID)の医療現場に応用した際の有用性と問題点を明確化し、臨床現場への導入にむけた取り組みを報告する。

【検証】ICタグは水分の影響を受けやすいため、リストバンドにRFIDを装着した場合、直接人体に触れるとICタグの読み取りに悪影響を及ぼすため、ICタグと皮膚との間に緩衝材を装着する必要がある。数種類の緩衝材を用いて、1)緩衝材の使用に伴う不具合(皮膚接触面の影響、製品破損等)、2)緩衝材形態の相違による機能の相違、3)緩衝材毎の業務に係わる動作の影響について、健常人ボランティアによる検証を実施している。医療現場における患者認証法として重要な点は、1)簡便であること、2)非接触型であること、3)電子カルテ等の他の医療情報と連結していることである。今後は臨床現場での検証を実施する予定であり、携帯性、操作性、認証精度において、臨床応用への可能性を明らかにしたい。患者誤認防止策としてのRFID導入に向けた当院での取り組みの一端を紹介したい。