一般社団法人 日本医療情報学会

[3-F-1-02] 無線通信デバイス導入におけるスペクトラムアナライザによる電波環境測定の重要性

杉山 賢司1 (1. 社会福祉法人三井記念病院 事務部情報サービス課)

Spectrum analyzer, Radio wave interference, Wireless Communications Device, RFID reader

【はじめに】情報通信技術の進展に伴い、近年医療機関では無線を利用した情報端末(以下、ハンディターミナル)の導入が進んでいる。また、ハンディターミナルと患者識別用リストバンドにて患者誤認防止策を施す医療機関も増えてきた。当院では2008年12月に電子カルテシステムを導入し、ハンディターミナルを用いて患者識別用リストバンドに印字されたバーコードを読み取り患者照合を行ってきた。このハンディターミナルは2.4GHz帯無線通信を利用して電子カルテシステムと連携していたが、通信障害で連携が出来ない事象が頻発していた。その中で2018年9月に電子カルテシステムの更新が予定され、ハンディターミナルも更新することから、更新後の通信障害が懸念された。システム更新前に院内の無線電波状況を把握することが必要となった。

【目的】計測器(USBスペクトラムアナライザ)を用いて電界強度を測定し、現在の電波環境を把握し、新システム稼働後にハンディターミナルの安定的な運用に寄与する。

【方法】電界強度測定器として、テクトロニクス社製RSA306B(ハードウェア)とSingnalVu(専用PCソフトウェア)を用いて、ハンディターミナルを使用しうる場所にて電界強度を測定した。

【結果】ハンディターミナルが利用する周波数帯域と被る2.4GHz帯にて高出力の電波を確認した。発信源は、病室前廊下にある液晶廊下灯に連動したICカードリーダーや院内の居室への入退室管理するICタグリーダーであった。

【考察】5GHz帯では通信障害は見られないことが判明した。システム更新までの間のハンディターミナルの使用場所の見直しや2.4GHz帯における使用チャネルの変更、そして常時高出力を発信し続けるICカードリーダーの出力低減化が示唆された。

【結語】通信障害を特定でき、新たに使用するハンディターミナルの通信帯域を定められた。