Japan Association for Medical Informatics

[3-F-1-04] 外来、病棟へのインカム導入による職員間コミュニケーション効率化の取り組み

榊原 祥裕1、土井 英之1、橋本 しのぶ1 (1. 公益財団法人操風会 岡山旭東病院)

Wireless Intercom, WIFI, Staff Communication

【はじめに】当院は病床数202床、約500人の職員が働く脳神経運動器の専門病院である。外来と全病棟にインカムを導入し、職員間のコミュニケーションを効率化することができたので報告する。

【目的】外来や病棟に従事する看護師などの職員は、日常業務の中で他の職員を探すことにかなりの時間を使っている。患者に対するケアなど本来業務に必要な時間を確保したいと考え、インカムによる職員間コミュニケーションの効率化に取り組んだ。

【方法】インカムメーカー2社から実機をレンタルし、外来、病棟などでの試行運用を経て機種を選定。通信手段としては、電波の影響とセキュリティを考慮し、電子カルテと同じクローズド環境のVLANにWIFI接続することとした。購入したインカムは全部で75台。外来2、病棟5、健診1の計8チャンネルに分けて運用し、導入前後の変化を検証した。

【結果】現場にてインカム導入前後の各アクションに対する所要時間(実測)を記録してもらい集計。担当看護師を探すシーン等が各現場で1日数十回あり、インカム導入前は毎回1分以上を要していたが、インカム導入後は数秒で完結するなど大幅に時間短縮できたことが分かった。さらに、インカム導入部署に対してアンケートも実施(回答率70%)。インカム自体が重いというネガティブな意見も散見されたが、5段階評価の4以上と回答したのが、1回以上の使用経験者全体で81%、日常的な使用者に限定すると93%と非常に高い評価となった。また、レスポンス低下などネットワークインフラへの影響も調査し、導入前後でコアスイッチのCPU負荷等に変化はなかったことを確認した。

【結論】外来と全病棟という病院の大部分への一斉インカム導入ということで、トライアル的な要素はあったが、結果的に迅速な情報伝達、複数人での情報共有などインカムの特性が職員間コミュニケーション効率化に大きく貢献したと考える。