Japan Association for Medical Informatics

[3-G-1-01] DtoP遠隔診療を見越したWebカメラの性能評価

仲 碧子1安徳 恭彰2、園田 浩富2、安達 将司2、後藤 芳美2、下村 剛2 (1. 大分大学医学部医学科, 2. 大分大学医学附属病院医療情報部)

telemedicine, Image quality, DtoP

【目的】DtoPに遠隔テレビ会議システムの映像を用いる場合、患者宅の映像をWebカメラで伝送することになる。しかし、Webカメラの映像は、距離、角度などの変化により同一部位の色でも異なって見えることがわかっている。これは色の自動補正機能に起因するものである。自動補正機能は、色被りを補正する有効な手段であるが、色の誤認識や、環境の違いによって、必ずしも正しい補正を行うとは限らない。
実際に遠隔診療の現場での利用を想定し、この機能により、映像にどのような差異が生じるかの検証を行った。

【方法】円周100cmの紙の円筒を仮想患者に見たて置き、カメラの設置位置を前後左右に変更し、同一部位を撮影し送信した画像の色の変化を比較する。受信した画像を画面キャプチャして、カラーピッカーソフトで同じ部位の色を数値化した。受信映像における色の差異の比較にはユークリッド距離による色空間の距離を用いた。

【結果】仮想患者からの距離を、30cm、50cm、70cm、100cmと変更し、色の変化を確認し、次に仮想患者からカメラの距離を50cmで固定し、左右に設置角度を変え撮影した。同じ条件下で同じ部位を撮影した場合でも、仮想患者からの距離、角度によって受信映像の色が違って見えることが確認された。

【考察】遠隔診療において、患者とカメラの距離、角度によって見え方が変わってくるということは診療に大きな影響を与えると考えられる。皮膚や肌の色などが重要な診断材料となることもあるため、適切な位置にカメラを設置することが必要である。
遠隔診療の普及において、患者側の情報を的確に伝えることは重要である。しかし、情報を正しく伝えるために、患者に負担をかけざるを得ない状況が存在する。患者に負担をかけることなく、また患者の力量で診療の質に差が生じないためにも、技術対応が必要である。