Japan Association for Medical Informatics

[3-G-1-03] スマートフォンの食事撮影画像を利用した糖尿病患者を対象とした遠隔栄養指導─患者側と指導側の管理栄養士両者のアンケート結果からみた課題

本間 聡起1,2、森本 二郎3、澤 志菜4、稲垣 綾子4、遠藤 さゆり4、丸山 千寿子5 (1. JCHO埼玉メディカルセンター・健康管理センター, 2. 慶應義塾大学看護医療学部・同SFC研究所, 3. JCHO埼玉メディカルセンター・一般内科 内分泌代謝内科, 4. JCHO埼玉メディカルセンター・栄養管理室, 5. 日本女子大学 家政学部 食物学科)

remote dietetic consultation, photographed food images, type 2 diabetes, smartphones, adherence of patients and nutritionist

家庭や外出先で食事を撮影した画像を基に管理栄養士が行う遠隔食事指導プログラムは、献立内容の評価の精度向上を図り、仕事や家事に忙しく医療機関を受診するのが困難な生活習慣病患者にとっても便利である。今回、我々は外来通院中の2型糖尿病患者を対象に、患者自身が保有するモバイル端末に付属する撮影機能を使った遠隔食事指導用アプリの試用実験を行った。実験は4か月の期間で、糖尿病外来受診の2回の間期に、患者が撮影した3日間の食事画像を基に、3名の病院の管理栄養士が交代で指導コメントを作成しメールで返送した。エントリー時、糖尿病患者12名(44~63歳、男女各6名)が登録したが、3名は食事画像送付も指導も受けない脱落例となった。今回は1~2回の遠隔指導を受けた9名の対象者のうち7名から得た実験終了時の記入式アンケートと、栄養士3名からの実験終了後のアンケート結果から、本プログラムの運用課題について検討した。食事撮影期間については、患者、栄養士共に3日間は概ね適切とされたが、患者側からは毎食の撮影は面倒との意見が多かった。撮影時、食事と一緒に何かスケールを置くこと、照明機能の使用、食事画像とともに簡単な食事内容についての説明文を添付することを依頼したが、毎回の完全実施例はそれぞれ1例、0例、3例で、栄養士からは照明使用以外の撮影法の遵守と、2方向からの撮影も含めた一定レベルの画質を得るための改善が要求された。また、栄養士からは遠隔食事指導のスケジュール調整が困難とされた。食事指導内容の患者満足度は概ね良好だったが、栄養士側では画像からの食材や分量の判断が困難で、そのため所要時間は1患者3日間の指導コメントの作成につき3~4時間を要したとされた。食事画像による遠隔栄養指導については、患者側の撮影の負担を増やすことなく、栄養士の食事内容把握の精度を向上するための技術面での改良が必要と思われた。