Japan Association for Medical Informatics

[3-I-1-01] 地域包括ケアに資する服薬支援装置と配薬支援装置

鈴木 亮二1 (1. 東北大学大学院医学系研究科医学情報学分野)

medication support, drug distribution support, forget to take medicine, community care

【目的】在宅高齢者向けの服薬支援装置(以下、服薬装置)と施設職員向けの配薬支援装置(以下、配薬装置)を開発したので報告する。

【方法】1)服薬装置:一包化薬剤を薬剤ドラムに60日分巻き、3回分の薬剤ドラムを装置にセットする。服薬時刻になるとオルゴールが鳴り、患者は1回分の薬を取り出すことができる。30分経っても飲み忘れている場合は、登録された支援者の電話に送信される。支援者は患者に電話して服薬を促し、体調確認も行う。在宅高齢者を対象にモニタリング実験を行い、実験後にヒアリング調査を行った。2)配薬装置:入所者1名の朝昼夕と反復された一包化薬剤を薬剤ドラムにセットし、一包化できない目薬等は薬剤ボックスにセットする。薬剤ドラムと薬剤ボックスは10セット備えているので、グループホーム入所者9名の薬剤を装置1台で管理することができる。配薬時刻になるとオルゴールが鳴り、職員に配薬を知らせる。職員は入所者の服薬確認後、操作パネルの配薬ボタンを押すと服薬済に変わり、服薬情報を共有することができる。グループホームでモニタリング実験を行い、職員に使用前後でアンケート調査を行った。

【結果】1)服薬装置:2014年10月から12月まで4名の高齢者にモニタリング実験を行い、ヒアリング調査の結果、飲み忘れの改善と見守りに役立つことが明らかとなった。2)配薬装置:2018年6月から9月までグループホーム1施設でモニタリング実験を行い、アンケート調査の結果、配薬時間は使用後に1日平均3.5分短縮された。また、配薬忘れ、配薬の人違いや配薬時間の間違いが低減された。

【まとめ】服薬装置は、高齢者の飲み忘れの改善と見守りに役立ち、また、配薬装置は、配薬時間短縮と配薬忘れ、配薬の人違いや配薬時間の間違いが低減され、職員の業務負担の軽減に役立つことが明らかとなり、地域包括ケアに資すると考えられた。