Japan Association for Medical Informatics

[3-I-2-01] バーコード表示に関する厚生労働省の医療安全に向けた取組み

田中 大祐1 (1. 厚生労働省 医薬・生活衛生局 医薬安全対策課 安全使用推進室)

 2000年以降さまざまな分野においてICTが活用されるようになってきた。医療においても例外でなくICTの活用が進んできている。バーコードの活用はICT化の促進にも資することから、日本では1999年に医療機器業界の取組から始まり、2007年の「規制改革推進のための3か年計画」の閣議決定や2008年の医政局経済課長通知「医療機器等へのバーコード表示の実施について」などを受けバーコード表示の標準化が進んできている。医薬品では、医薬品コード表示の標準化やバーコード等の活用が2002年に発表され、翌年、医療安全推進総合対策でも取り上げられた。

 バーコード表示が整備されるにしたがって、メーカーから医療機関までの流通管理、物流の効率化、コスト削減など流通改善のために活用が広がってきたほか、医療機関等における使用の記録の管理、医薬品の取違等による医療事故の防止を通じた医療安全の向上などにも活用されてきている。

 医薬品においては、有効期限、製造番号などの変動情報を含んだ新バーコード表示が流通記録の管理に活用されることにより、流通段階での把握管理をより迅速かつ確実に行うことが可能となり、メーカーが製品の回収など安全対策上の重要な責務を適切に遂行する上で有効な手段となると期待されたことから、厚生労働省は2016年に関連3課長の連名で「医療用医薬品へのバーコード表示の実施要項」の一部改正についてを通知した。医療機器では、世界の主たる医療機器規制当局が参加するIMDRFにおいて、UDIガイダンスが発行され、流通の効率化、医療安全、トレーサビリティ確保を目的として、バーコード表示を積極的に使用する方向性が明確化された。

 現在、平成31年の通常国会に提出された医薬品医療機器法の改正案においてバーコード表示の法制化が検討されているところであるが、これまでの取組みも含め、バーコード表示に関して、厚生労働省の医薬品・医療機器の安全対策、医療安全に向けた取組みについて紹介したい。