Japan Association for Medical Informatics

[3-I-2-02] 医療現場におけるUDI利活用促進事業 実証実験結果報告について

澤田 真如1 (1. 東海大学医学部医学科外科学系麻酔科)

 GS1標準バーコード(以下「GS1」)は、商業・流通分野では広く普及し、デジタル化による効率化・安全性の向上だけではなく、購買情報などのデータ活用により同分野に著しい発展をもたらした。しかし、医療分野においては十分に活用されているとはいえず、他分野と同様の恩恵を受けていない。
 昨年度、この課題を改善するために厚生労働省により「医療現場におけるUDI利活用促進事業」が催され、UDI(Unique Device Identification:医療機器固有識別)技術に対する全国の医療施設を対象としたアンケート調査と、既にUDI技術を使用しているモデル病院にてUDIのメリットの実証研究が行われた。
 当院は実証研究を担当し、他分野の活用事例を参考にして、「安全性向上」、「効率化」、「データ活用」の3つをテーマとして有用性の検証を行った。
 「安全性向上」としては製造業におけるリコール対応を参考とした使用医療材料履歴の活用に関する検証と、コンビニエンスストアなどで用いられている商品会計時の消費期限アラート機能を参考とした滅菌期限切れアラート機能の有用性について検証を行った。
 「効率化」としては、使用医療材料の会計記録について、GS1を用いた入力と、当院で以前に行われていた紙帳票への記入で作業時間の検証を行った。
 「データ活用」としては、GS1による使用医療材料情報の活用について検証を行った。当院では手術室においてGS1による使用医療材料の会計を導入したが、その副産物として会計登録作業が簡易であるため保険請求分以外の使用医療材料も集計することが可能になったことが挙げられる。GS1は消耗医療材料の個装においては表示率が低いことが課題とされていたが、現在は1000円以上の医療材料の大部分に表示されており、GS1だけでも使用医療材料総額の概算が算出できる可能性があると考え検証を行った。
 検証内容は厚生労働省HP(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05388.html)にて報告書として公開されているが、発表ではより詳細な解説を加えて説明したいと考えている。