Japan Association for Medical Informatics

[3-I-2-03] 世界的に進むGS1バーコード表示とそのデータ活用

前川 ふみ1 (1. GS1ヘルスケアジャパン協議会)

GS1(ジーエスワン)は国際的な標準化団体であり、商品識別コードやそれをバーコード・電子タグで表わす場合の国際ルールを定めている。GS1の商品識別コードは業界横断的に、また、世界で共通して活用することができるため、一般商材の識別には数十年前から広く活用されてきた。近年、各国・地域の医療製品トレーサビリティの強化、偽造品の市場流通防止、患者安全の強化等を目的として、医療製品に対するGS1バーコード・電子タグの表示を義務化する国・地域が増加してきている。例えばオランダでは、乳房インプラントの製品情報、患者情報、手術情報をDBIR(Dutch Breast Implant Registry)へ登録する必要があり、製品情報の入力にGS1バーコードが利用されている。DBIRへ登録された情報は、手術の質・結果の分析、製品の品質分析及びトレーサビリティ確保に活用されており、さらに、患者自身もこの情報にアクセスし、製品情報を確認することができるようになっている。最近では、オランダ国内にとどまらず、米国、カナダ、豪州等の世界各国と連携して標準化されたデータセットでグローバルに情報収集を行う動きも出てきている。また、韓国では、医療用医薬品にシリアル番号を含めた製品情報をGS1バーコードで表示することが法制化されており、保険請求審査を担う公的機関が、製造業者から医療機関に至るまでの全ての取引情報を収集している。医療機関への製品供給情報は保険請求審査時に活用され、保険請求審査の正確性向上に役立てられているほか、別の政府系機関が収集している医療記録データを活用して、医療機関の質評価も実施している。このような世界的に進捗しているGS1バーコードを活用したデータ分析事例を報告する。